ミャンマーの就活事情から見えてくる、先進国と途上国の違い。
途上国の安い労働力が、インターネットを介して、日本の雇用にも影響を及ぼしています。僕たちは、これから、どうすれば良いのか?を考えたいと思います。
特に、
・これから社会に出る就活生&新卒生
・海外の仕事に興味がある。
・グローバル化って、何が起こってるの?
という方に、見て頂ければ幸いです。
目次
タクシー運転手の方が儲かる?
先日、ヤンゴンで、タクシーに乗った時、運転手がやけに英語がうまいので、どうして話せるか聞いたところ、自分は大卒だといいます
外国人旅行者も多くなっているので、専属で数日間雇われたりもするようです。
どうして、ホワイトカラーの仕事をしないのか?と聞くと、ミャンマーの大卒がオフィスワークしても、月200ドルにしかならず、運転手だと500ドルになるようです。
「もったいないなぁ」と思いました。
主な原因は「彼らを受け入れる、企業数がミャンマーにない」からだと思います。能力があっても、彼らの受け皿がないのです。
※ちなみに、日本企業のミャンマー進出数は351社のみ。お隣のタイは1,748社と、約5倍もの差があります。
僕は、ただ単に、英語が話せるから優秀だとは思いません。相手が英語を喋れると分かると、色んな質問をします。
・スーチーさんは、ミャンマー経済にとってプラス?
・タイに出稼ぎに行くミャンマー人をどう思う?
・ロヒンギャ問題をどう思うか?
それらの回答を聞くと、ある程度、優秀かどうかは分かります。このタクシー運ちゃんは、答えてきましたので、とても優秀だと思いました。
大卒は狭き門
ミャンマーの大学は、入学資格試験があり、そこをクリアしないと進学できません。日本でいうと「センター試験で一定数の点数を取れないと、大学入試さえ受けれない」のです。
なんと、その合格率が、たったの33%なんです。
進学したいと思っても、3人に1人の狭き門なのです。お金さえあれば、誰でもFラン大学に入れる日本の状況とは、全然違いますね。
ミャンマーでは、進学できる家庭であることだけでも、生活水準的にも平均以上となりますので、大卒者とは、これからミャンマー経済を牽引していく「金の卵」的な存在です。
これから、経済発展が進み、うまく民営化・国際化が進んでいけば、外資系企業もガンガン入ってきて、これら優秀な人材の受け皿になるのだと思います。
ミスマッチをビジネスチャンスに
僕は、定期的にミャンマーに通ってますが、この「もったいない」をどうにか活かせないか?といつも考えてます。労働市場で、ミスマッチが起こってますので、マッチングできないかと。
僕は、いくつかビジネスモデルを考えてます。
①クラウドワークを仲介
日本から「非日本語で、パソコンで完結する仕事」を取ってきて、優秀なミャンマー人にやってもらう。完成品をデータ納入する、です。
実際に、クラウドワークスなど、ネットで個人が単発で仕事を請け負うマッチングサイトでは、実は、日本語が出来る中国人が、中国から受注していたりします。
仕事の中身の目利きと、お客である日本人への窓口役を僕ができれば、遠隔のミャンマー人が仕事を受けることだって出来るのです。
ちなみに、ミャンマーの最低賃金は、約400円です。時給でなく日当ですよ。この人件費の安さが、魅力的ですよね。
②「いいね」押す部隊
大手SNSの規定上はNGなのですが、、
「いいね」や「フォロワー」は、買うことができます。インフルエンサーがお金になる(企業の広告塔になる)と周知されてから、そのインフルエンサーになりたいがために、大量の「いいね」を買いたいという需要があるのだとか。
その「いいね」が、どこから来たかというと、全世界の途上国だそうです。誰か仲介業者が、彼らを安く雇っていたり、コンピュータウィルスを使った手口もあるようです。
小銭を稼ぎたいミャンマー人100人と契約して、こちらから指定する人の投稿に「いいね」してください、とか「フォロー」してくださいとアルバイトさせればどうでしょうか。
すみません、こちらは非常にグレーなので良い案とは言えませんね。
③ネット家庭教師
アメリカの子供達では、学校の宿題を手伝ってもらう「ネット家庭教師」が広まっているのだとか。
Skypeを介して、フィリピンやインドの大学生が、英語で、アメリカの小学生に算数などを教えているのです。彼らからすると、英語さえできれば、小学生の算数なんて、へっちゃらですよね。
以前、僕の娘たちにも、オンライン英会話をやらせてまして、英語の宿題を、フィリピンの先生に見てもらっていました。学校から出た宿題を、写真に撮って、事前に先生に送っておくのです。Skypeで繋げると、先生が宿題を説明してくれるのです。
ミャンマーの大学生だと、そこそこ英語は話せますので、これらも、十分出来ると思います。
インターネットがもたらす「フラット化」
「途上国の人件費は安い」そんな彼らが、インターネットで、国境を飛び越えて、世界の仕事をする時代になっています。
クラウドワークスや、ネット家庭教師に、途上国の優秀な人たちが参加して来ると、どうなるかというと、供給者が増えて、価格競争が起こり、単価が下がるのです。僕が、ミャンマーで事業をしなくても、誰かが同じようなことをするはずです。
結果、日本人の給与も、引っ張られて、下がるのです。
【フラット化の流れ】
①今まで、日本人しか、日本の仕事ができなかった。
②途上国の人が、ネットを介して、日本の仕事を安くする。
③日本の仕事の単価自体が下がる
④仕事の単価が下がれば、会社の利益も下がる
⑤会社の利益が下がれば社員への給与も下がる
⑥給与が下がるので、皆んな安いものを求める
インターネットの広がりは、世界の労働市場に、平準化(フラット化)をもたらしています。グローバル経済は、僕たちの見えないところで、急激に進んでいます。
目には見えない、途上国の人件費と、知らず知らずのうちに戦っています。ここ20年間、日本人の平均収入が、上がらないのとも無縁ではありません。
ユニクロが安い労働力を求めて、中国→ベトナム→ミャンマーなどと工場を移転指定ます。日本で生産をしないので、国内の仕事が海外に流れている「空洞化」が、一時期、問題視されました。
しかし、それと同じ現象が、インターネットを介してグローバルで起きています。
「移民を受け入れると、仕事が奪われる」と言いますが、今では、別に、移住してこなくても、ネットを介して、ドンドン、途上国の安い人たちが、先進国に流れてきています。
詳しくは、世界的ベストセラーになりました、フリードマンの「フラット化する世界」をどうぞ。
少し古い本ですが、僕は10年くらい前に読んで、感銘を受けました。これらグローバル化すると、労働市場がどう変化していくのか?が、良く理解できます。
では、僕たちはどうすれば良いのか?
不安を煽るようなことを並べましたが、これらからの新社会人は、どうしたら良いのか?
答えは1つしかありません。
「グローバルの波に乗る」
世界の国々は、ほとんどが資本主義社会です。テクノロジーの進歩も、これから後退するこは絶対にありません。地球規模での、グローバル化は、もっと加速しますし、この流れは、必然なのです。
だったら、この必然(グローバル化)に、個人として、のっかかるしかないのです。僕が、このサイトを運営しているのも↑ここを伝えたいからです。
世界がどのように動いていて、それに自分が、どう対応していくべきなのか?を、各個人が、真剣に考えることこそ、次の一手が見えてくると思うのです。
絶対に、会社に自分の人生を任せてはいけません。東芝も、大手銀行も、富士通も、NECも、日産も、リストラを進めているじゃないですか。超一流と呼ばれた企業ばかりですよ。
どこの企業も、僕たちの人生を最後まで面倒みてくれないんです。だからこそ、個人が刀一本で、世界に立ち向かうことが求められるのです。
僕は、いずれ独立して、このグローバルの波に身を投じるつもりでいます。ミャンマーのビジネスモデルを、具体的に3つあげましたが、どれも「グローバルの波に乗る」という発想から生まれているのはお分かり頂けましたでしょうか。
See you tomorrow.