よくいただく質問で「どうしたら海外駐在できますか?」です。
僕の経験と、他社の駐在員を見てきたことを話しますね。
■こんな方にオススメ
・海外志向の就活生
・希望部署でないところに配属された新入社員
・室長さんみたいになりたい人w
大前提として、就活生が「私は英語が堪能なので英語を使う部署、又は、海外現地法人を希望します」と言いますが、それは大間違いです。
会社側のホンネは「お前が仕事で使えるか分からないのに、希望もクソもあるかよ」です。採用担当の人事課や、部署をまとめる管理職の方なら、ここのニュアンスは分かっていただけると思います。
そして、たった1年留学したぐらいの英語や外国語に、ビジネス上の価値はありません。僕も留学経験があるので分かりますが、留学で、ゼロから語学を学んで、それを就職先で速攻活かせることは無いです。そんな甘くありません。
目次
商社は営業第一主義
商社とは、自社で工場や設備を持たずに、メーカーとお客さんの間に入り、手数料を得るビジネスモデルです。そんな商社が求める人材とは、下記の2人、どっちのタイプでしょうか?
①英語堪能だが営業未経験
②英語ダメたが営業力有り
会社への貢献度は、断然②営業が勝ります。
極論いうと、英語が出来なくても、通訳付ければ解決しますですが、営業は、そう簡単には、外注できないのです。
商社は、売るのが仕事ですから、売りは「営業力」です。営業が出来ないと、メーカーから相手にされないのです。新入社員が配属されるのは、ほとんどが営業職で、そこで営業のイロハを学ぶのです。
空気を読みながら、お客さんの気持ちを読んで先回りする、お金の流れ、納入の注意点など、その会社で、真っ先に覚えることが営業では盛り沢山なのです。
B to C(個人営業)ならまだしも、B to B(法人営業)は、その会社の独自ルールや、仕入先、売り先など、それなりに時間をかけて学ばないと仕事になりません。英語じゃないよってこと。
駐在員を目指してます
これは会社によって違うと思います。海外現地法人が多く、尚且つ、全体的に従業員数が少ない中堅会社だと、比較的にチャンスはあると思います。
ですが、1つだけ共通して言えるのは
入社して5年は、自分の意向とは関係ない部署でも腐らず、真剣に取り組んだ方がいいです。
その5年間で、会社はある程度、社員の資質を見抜いてきますので、そこで、平均以上のパフォーマンスを出していれば、ここぞとばかり自分の意思を会社に伝えることができます。※室長の「告白 僕が駐在員になるまで」を参照ください。
国内実績がないと海外案件は無理
そもそも商社だと、営業の基礎が無い人を「会社の代表」として海外に出すのは、会社として相当リスクがあるのです。海外ビジネスは、日本国内より、シビアです。相手が、外資系だと、こちらが失敗しても同情など皆無で、少しのミスが、何千万円の損失に繋がったりします。
本社の目も届きにくいので、経費をごまかして着服したりもあり得ますので、それなりに信用に値する人を出さねばなりません。
海外工場がある製造業だと、駐在員は「生産技術」が多いです。技術を知ってないと、海外の工場で外国人相手に指導出来ないのですよね。
ある程度、国内で経験を積まないと、駐在員としては声が掛からないのです。現に駐在している方は、ほとんどが30代以上です。20代では、まずあり得ないですね。我慢が必要です。
英語が不要とは言ってない
就活生の話に戻しますね。
留学経験があったり、英語がそこそこ出来る就活生は、何を売りにしたらいいのか?
僕は、英語を不要とは言ってなくて、出来て困ることはないし、出来た方がいいに決まってる。しかし、それを全面に出さない方が良いんです。「英語が得意なので、将来は海外部署を」とか言わなくていい。面接官もそんなアルアルな話は、聞き飽きているはず。
留学経験者なら「自分一人しかいない中で、生き抜く術を学びました」
英語が得意なら「コツコツと積み上げていく大切さを学びました」
とかぐらいで、おさえておくのです(空気を読むのです)
能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ。しれっと、資格欄にだけ「TOEIC 800点」って書いときます。面接官が気づいて、必ず質問してきますから、それに沿ってだけ、答えるべきです。
結局、偏差値が平均的な学生だと、何を見られているかというと、コミュニケーション能力や、やる気(ガッツ)入っても会社辞めないか、ぐらいです。大したことない能力を、下手に大きく見せると、かえって墓穴を掘ってしまうと思います。
過去の結果に縛られるべからず
そもそも「○○が得意だから▲▲がやりたい」と言いがちですが、それは思い通りにはならないことが多いんです。
「司法試験受かったから弁護士がやりたい」は成り立ちますが「宅建を持ってるから不動産会社に入りたい」「理系出身なのでメーカーの設計がしたい」は主語が弱すぎるのです。
宅建合格したぐらいで、自分の選択肢を減らしてしまってますし、18歳の時に決めた学部だけで、自分の将来を固定させるのは損です。
ちなみに僕は、理系の水産学部出身ですが、商社勤めの営業職です。中国留学していますが、今はタイバンコクで駐在しています。宅建は、学生の頃に取りました。
過去の自分の経験を活かしたい気持ちは、分からなくはないですが、それで未来の可能性を殺しているなら本末転倒です。
サンクコスト(埋没費用)
事業に投下した資金・労力のうち、事業を、撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと。
サンクコストとは、ビジネス用語ですが、今まで払ったコスト(留学や勉強)が、埋没(まいぼつ)した時に、それを取り返そうという心理が働くことで、誤った意思決定をしてしまうことです。要は過去の取り戻せない損失は忘れて、未来を見て判断せよってことです。
分かりにくいので、例をあげますね。
映画でも自腹で2,000円払って入ると、途中で面白くないと思っても、なかなか途中退場できませんよね?2,000円がもったないからです。
しかし、ズルズルと最後まで映画を観てしまうと、更に自分の時間を無駄にしてしまうのです。払った2,000円は戻ってこないので、すぐ次に方向転換せよってことです。
会社組織は個人をそこまで尊重しない
僕が社会に出て思ったのは、会社は兵隊(社員)の希望を聞いてないってこと。
当たり前ですが、僕たちは、会社の歯車になるわけですから、各歯車が好き勝手言い出すと、組織として成り立たなくなります。
そこを「仕方がない」と諦めるのか、「やりたいことがあるんだ」と自分を貫くのか。会社に残るほとんど人は「仕方がない」と諦める前者です。後者の自分を貫く人は、起業か転職していきます。
組織と個人では相容れない部分が必ず出てきます。そこと、自分の人生を、どのように折り合いをつけるのかは、その人、次第だと思います。就活生は、まだここまで感じれないと思いますが、僕のように30代半ばの中堅社員になると、考えさせることが多いです。
結局、何が言いたかったかというと、就活の時にイメージしていた「自分の働いている未来」は、その通りにはならないってことです。駐在員になれる・なれないも運の要素が大きいかもしれません…、あれ?冒頭の質問に対する明確な答えになってないですね。ごめんなさい。
See you tomorrow.