約15年前、留学先で、知り合った同世代の韓国人や中国人と、自分とが大きく違う点がありました。それは、彼ら彼女らは、ものすごいストレス社会で生きていたのです。
彼らを見て、率直に不幸だと感じました。
なぜなら、彼らの社会には選択肢が圧倒的に少なかったからです。これは、日本社会で生きることへの逆の意味で参考になると思いましたので、今回、詳しく解説したいと思います。
■こんな方にオススメ
・大学時代に何をすれば良いのか悩んでいる
・他国の学生は猛勉強してて何となく不安
・室長みたいな面白く生きたい
目次
韓国と中国の現実
独立行政法人国立青少年教育振興機構が、平成29年に調査した、日本、米国、中国、韓国の高校生「平日、学校の授業と宿題以外に2時間以上勉強する」と回答した割合は、日本21%、中国31%、韓国39%と、お隣の国と比べると日本は比率が低い。
この調査、質問の仕方や、対象高校、母数などがよく分からず、この数字の信憑性は微妙だが、僕の肌感覚でも同じぐらいです。
韓国の学歴社会は有名です。小学低学年なのに、塾で帰宅は22時になるのは当たり前。景気が悪いので、公務員試験も100倍以上の狭き門ですが、専門学校に通い、皆んな毎日勉強漬けです。
池上彰さんが、韓国の若者に取材した、この記事がおすすめ。公務員専用予備校に住み込みで、朝から晩まで一日中勉強する学生に、池上さんが、こんな質問をします。
池上さん:眠くなりません?
韓国若者:眠くなったら、立って勉強します。
えっ、眠くなると横になって、寝るのでなくて、立って眠気と戦うのですか?ほんと、信じられません。「それ効率悪いだろ」って突っ込みたくもなりますが・・
そんな韓国では、社会の閉塞感を皮肉って、ヘル朝鮮と呼ばれます。
〈ヘル朝鮮〉 激しい受験戦争や若者の就職難などに直面する韓国社会の生きづらさを表す流行語。英語で地獄を意味する「ヘル」と「朝鮮」を組み合わせた。かつての王朝名である「朝鮮」には「古くさい社会」という意味も込められているといわれる。
中国も負けてはいません。人口が多いのに、就職先の絶対数が限られています。いくら優秀でも受け皿がないのです。日本の大卒内定率80パーセントとか、中国ではあり得ないのです。700万人と言われる新卒生を受けれる企業数がないのです。
ちなみに日本は30万人〜40万人です。中国の1/20ですね。
中国青年報によれば、上海地区に限ると、4月末時点で就職率は29%程度という。文科系のうち、比較的求人率の高い「外貿学院」の就職率でも32%、前年より8ポイント下がった。
大学は出たものの、まともな就職先に就けない人が沢山います。現実が厳しいため、人並み以上の努力が求められます。中国のグローバル企業って、みなさん何社言えますか?日本より圧倒的に少ないのです。
甲子園、国立、花園は日本だけ
僕は、日本で育ちましたから、そんな競争には晒されていません。勉強とは無縁の世界で生きてましたし、小さい頃からサッカーを続けていて、高校3年の時は副キャプテンしていました。下手でしたけど、体育会系でして、ガッツは誰よりもありました。
日本では、高校野球(甲子園)、サッカー(国立)、ラグビー(花園)と、プロを目指しているわけでもないのに、高校生が一つの目標に向かって、スポーツに打ち込める’部活環境’があります。
しかも、それを、社会全体が容認して、大人が観戦に夢中になりますよね。甲子園とか。韓国、中国では、日本のように部活動が盛んではありせん。もちろん、甲子園もない。
選択肢があるのが日本
別に、ガリ勉を否定しているわけではないんです。勉強できるのも良いことだし、それはそれで、なかなか出来ないことです。その「勉強」「スポーツ」「ボランティア」など、多くの選択肢が用意されているのが日本なのです。社会の容認度が高いんです。
韓国&中国を比べて、あきらに日本の方が「生き方の選択肢」が多い。それは、日本社会が高度に成熟していて、なんだかんだで民主主義が行き届き、平等社会であり、また日系企業が世界で幅をきかせているからなのです。GDPとか指標でなく、この自由度の高さが、個人としては重要なのです。
この日本の素晴らしさを、僕は、海外で同世代と交流して初めて気付きました。仮に、僕が日本で生まれてなければ、勉強をそこそこして、多趣味であり、YouTube投稿している今の自分は無かったと思う。中国の田舎生まれだと、よっぽどの運と実力がないと、這い上がれないんですよね。彼らには圧倒的に選択肢がないのです。
なにが言いたいかというと、苦労する為に、僕たち生まれてきたわけでは無いですし、人生を楽しんだもん勝ちだと思います。
ラッキーなことに、僕たちには人生を楽しむ選択肢が用意されています。それは韓国と中国の若者にはないんです。選択肢の数=自由度が高いのだから、その中から、あなたに合った最適解を探すことが出来るのです。その場所に自分がいるってことを理解すべきですかね。
どっちが面白いのか?楽しいのか?
果たして、極度のストレス社会で、小さい頃から勉強漬けで、競争に打ち勝つことを求められる韓国社会が良いのか?そこまで努力せずとも何となく生活できそうな日本社会が良いのか?僕には、どっちが、良いのか分かりません。
人は環境の奴隷と言われるぐらい、価値観は、生まれ育った環境に左右されます。そんな社会で生まれると運が悪く、そんな価値観でこれからも生きていかねばなりません。
世の中は、グラデーション
この「アジア戦略室」に訪問いただいて、僕に質問していただける学生さんは、皆んな前向きで、真面目です。
「英語学習してます」「留学考えてます」「就職はこんなところで」など、将来の不安を今から少しでも払拭しようとしています。まるで、僕の学生時代を見てるみたいで、嬉しくもなります。
でもですね、答えって無いんですよ。
他人に聞いて、答えが出てくるのは、学校だけです。
受験勉強や資格試験、外国語学習などは、白と黒しかない。正解と不正解ですね。でも、社会に出ると、白と黒より、その間の灰色がものすごい多いことに気付くのです。
正解でも不正解でもないところ(灰色)に、最適解が多数あったりする。白黒と割り切れるものではなく、グラデーションになってるのです。
学校の勉強ができたから、社会に出てうまくいくとも限らないし、その逆も然り。社会への準備するのは自由ですが、多分、目先の資格などは、あまり意味がないです。
的確な答えになってなったらごめんなさい。答えがないから、答えようもないってのが、答えなんですよね。
See you tomorrow.
[…] 韓国・中国・日本の学生の違い。勉強熱心なのが良いの?違うよ。社会は答えのないグラデーションなんだぜ論。 […]