僕が、新人にやってもらう最初の仕事は、パシリです。細々した買い物や、雑用事を頼むのです。
内容的には誰でも出来ることばかりですが、それを、新人がどう進めるのかを僕は見ています。パシリが出来ないと、メインの仕事なんて任せれないですからね。
目次
伝説① Ice coffee ( No ice )
タイ人のとある新人君には驚かされました。あるお客様から、Ice coffee ( No ice )と紙に書いて、コーヒーを買ってくるようにリクエスト頂きました。意味分かりますでしょうか?
これは、アイスコーヒー(氷抜き)を意味しています。しかし、新人君は、なんと、ホットコーヒーを買ってきたのです。
この英語だと、分かりにくいことは、分かりにくいのですが、曖昧だと思えば、事前に確認して聞けばいいのです「ホットコーヒーですか?」と。
この確認が出来る子と、出来ない子では、実はものすごい差があります。まずタイの暑い環境で、ホットコーヒーを頼むことは、オカシイとも気付かないといけません。
失敗はいいんです。この失敗をどうリカバリするのか、しかし大抵は「曖昧に書かれたので、書いたお客が悪い」という反応なんです。それではダメですよね。謝って、速攻アイスコーヒーを買い直しに行くべきです。
伝説② 違反金払ってください
もっと凄かったのは「早く買ってきてね」と指示して、その結果、車のスピード違反で捕まったので、僕に「違反金を払って下さい」と言ってきた子もいました。
僕は「急げ」とは言ったが「スピード違反しろ」とは指示してません。車のスピードを上げるよりも「事前段取りをしておく」「電話で先方に前もって準備してもらう」など、時間短縮する方法はいくらでもあります。
もし人を撥ねて人身事故でも起こせば「室長さんが急げと言ったから」と、責任は僕になるのでしょうか?凄いロジックですよね。
伝説③ Googleマップがありません
またある時は、お客様の所に行って、検収資料にサインを貰いに行く簡単なお願いをしたところ
「すみません。僕の携帯はグーグルマップが無いので、行けません」と。
マジか、、だったら、行く前に、パソコン開いて、地図プリントアウトするか、迷ったらそこの相手先の会社に電話して、場所聞いたり、町中で、その辺の人に道聞けば、初めての場所でも、何としでも行けるでしょう。
彼の頭の中には、工夫という言葉はなくて「グーグルマップが無いから行けない」という一点で、自己解釈、納得してしまっているのです。そこで、思考停止しています。
グーグルマップが無かった時代、どのようにして、初めての所に行っていたのか、想像できていません。
想像力を働かせることが出来るのか?
僕は、企業の面接でも、こんな、パシリテストをすればいいと思います。
「アンパン買ってきて」と言って、アンパンだけじゃなくて、気を遣って、コーヒーも買ってこれるか、何個必要か事前に聞けるか、温めるべきかなど、それらに気付くか気付かないかで、その子の資質って一発で分かると思います。
パシリも業務上の小さな仕事です。その小さな仕事に対して「後先を考えて、自分の想像力を働かせることが出来るのか?」だと思うのです。
これは、どんな仕事にも共通して言えることです。「人間は考える葦である」と、哲学者パスカルは説きました。
人間は孤独で弱いが、考えることができることに、その偉大と尊厳があるとしました。僕たち人間は、自分で考えてなんぼなのです。
しかも、社会に出て直面する問題には、学校のテストのように、明確に1つだけの解答は存在しないのです。学校と社会の違いって、ここかもしれません。アルバイトのように「言われた通りやってりゃいい」って立場でもありません。そこを、新人君たちには分かっていただきたいです。
しかし、そんなパシリにも、意味や隠された意図があるにも関わらず、新人君は「単純な雑用させられた」と、どうも被害者妄想になりがちなのです。
僕が気を付けないといけないのは、僕の若かった頃の感覚で、今の現代っ子を指導してしまうと「パワハラ」とも言われ兼ねないのですね。
えっ⁉︎そんな偉そうな僕が新人の時は、どうだったかって⁉︎
正直に白状しますと、パシリも出来ずによく上司に怒られました。今だから偉そうにしてますが、タイ人の新人君と、資質は、あまり変わりませんね。笑
See you tomorrow.