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現役商社マンが語る ‘商社ビジネスの裏側’

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僕への質問で1番多いのが「いったい、何してるんですか?」です。

はい。僕は、中堅の専門商社に勤めています。東証一部上場企業です。

本社勤務をしていましたが、海外赴任を命じられて、タイバンコクに海外勤務をしています。

今日は、この商社というビジネスモデルの「現状」と「将来」を、当事者の一人として語ってみたいと思います。

 

目次

商社とはどんなビジネス?

まず、商社とは、メーカーから仕入れて、お客さんに売り、その差額を利益としています。

古典的な商売形態ですね。商社が、入ることのメリットとして、

①メーカーは、自社の営業部隊を使わずに、商社に販売を依頼することで販路が拡大できます。

②お客さんは、日頃から取引のある商社から手軽に購入できます。

もし、小さなメーカーだったりすると、会社として、直接取引が出来なかったり、新規取引申請登録が必要だったり、モノ一つ購入するのが、結構面倒なのです。商社経由で、サクッと買いたい需要は今でもあります。

 

あなたも、最安だからと、よく分からない小さなECサイトから商品を購入するのは、住所登録や、カードの暗証番号を入れたりと、結構、面倒ですし避けたいですよね。

数百円の違いだったら、Amazonで買った方が、早いですし、何か商品に問題があっても、Amazonにクレームすれば対応してくれるので、安心感もあります。それと商社ビジネスは、同じです。

商社はメーカーと二人三脚です

しかし、別の見方をすれば「商社は、中間マージンを取っている」と言われれば、その通りなのです。

昔から「商社不要論」も根強くあります。要は、中間マージンが取られるんだったら、お客さんが、直接メーカーと取引きした方が、安く買えるじゃないか?と。

メーカー →  商社 →  お客さん (商社のマージンが含まれる)

②メーカー →  お客さん (商社のマージン無し)

実は、この中間マージンを得るビジネスは、インターネットの発展と共に、ことごとく消滅していってます。

例えば、書籍の卸業者です。製本された書籍を出版社から買って、書店に卸すのですが、今では、Amazonで買えば、同じ書籍でも、ポイント付いたり、送料無料で買えますので、わざわざ卸業者を介す必要が無いのです。

メルカリだってそうです。アプリで、個人と個人が取引きし始めると、街中のリサイクルショップなんてのが、成り立たないんですね。

商社ビジネスは、昔からこの「存在意義」の問題に向き合ってきたのです。

 

インターネットの脅威

追い討ちをかけるように、インターネットの拡がりは、何をもたらしたかというと「仕入価格のオープン化」です。

昔の商社マンは、いかに安く仕入れて、高く売りつけるかに、凌ぎを削ってました。それは、お客さんが、対象商品の「仕入値」を知らないから出来るのです。商社が、いくらマージンを載せているのか、分からないんですね。

しかし、今や商品の型式や名称を、ググれば、いくらでも価格が分かりますよね。情報の非対称性(売主だけが知っている状態)が、起こらなくなっているんです。

この状況を、イメージしにくいかもしれませんが、例えば、あなたが、スーパーに買い物に行って、明治牛乳を手に取りました。

スーパーの売値は、200円と表示されています。しかし、その横に、180円というスーパーの仕入れ値も書かれています。

差額を計算すれば、このスーパーの利益20円と、誰でも分かってしまうのです。

今後というか、今、商社が置かれる状況は、まさしくコレなんです。

 

生き残る商社の条件

商社というビジネスモデルは、成り立たなくなる運命にあるのか?と言うと、僕は、そうならないと思ってます。

モノを、ただ単に右から左に流して、利益を出している様な商社は、もちろん淘汰されていくでしょう。

どんな商社が生き残れるのか、、一言で表現すると「付加価値を加えられる商社」です。

もう、お客さんからは、商社の利益がいくら出ているのか、分かっていますよね。丸裸にされています。

そこを隠さないで、あくまで、その利益分の付加価値を、露骨に提示するんです。

お客さんも、そこの商社が、付加価値分、働いてくれるのかを判断するんですね。

例えば、あなたが、海外からモノを買おうとしても、海外サイトや、海外メーカーに直接連絡して、買えれば安くていいんですが、手間も商品が届かないリスクもありますよね。その「手間とリスク」を、誰かに肩代わりしてもらえれば助かりますよね。

しかも、その「手間とリスクは、商品価格の10%です」と、商社が、オープンにしてくれてます。「手間とリスク」を、商社がかぶってくれるんだったら、10%ぐらい余分に払ってもいいや、ってなりますよね。そこに、商社の存在意義があります。

海外販売のリスクヘッジとして商社を利用

日本を代表する大手総合商社も、従来の「物をただ仕入れて売る」ではなくて、コングロマリット(異業種複合企業体)経営に頭を突っ込んでいます。

売買仲介型ビジネスから、事業投資型ビジネスに大きく業態を変えているのです。

三菱商事であれば、ローソンというコンビニ業を看板に持っています。住友商事は、海外の鉱山利権を買ったりして資源ビジネスをやってます、丸紅は海外の工業団地を取り仕切ったりと、積極的にリスクを取っています。

それらは、商社としての「付加価値」を露骨に提示しているとも言えるのです。

 

海外商社の位置付け

僕が勤めている専門商社では、主に、日本の設備を海外に販売しています。

各国に現地法人(子会社)を持っており、日本の本社から出荷される設備を、各現地法人が受け取り、各国のお客様に販売しています。

商流(モノとお金の流れ)

日本メーカー → 日本本社 →  海外現地法人 →  現地お客様

日本の設備を海外へ輸出販売

あなたが、日本のメーカーの立場で、海外向けに、自社の設備を売りたいとします。

でも、その設備は、販売後に、メンテナンスや、セットアップが、必要になる場合があります。でも、自社で、海外支店はないし、販売後に、海外のお客さんからクレームが入っても、直ぐに駆けつけることはできない。だったら、海外支店がある商社経由で、販売すれば、そこの現地支店の商社マンが、海外のお客さんのトラブルに、対応してくれてます。

そこには「海外のアフターフォローが付く」という、海外商社ならではの付加価値があるんです。その付加価値を、金額換算した時に、設備の10%ぐらいだったら商社に払うべきかな?と、メーカーも、お客様も、そう考える訳です。

このように、中間マージンの価値を具体的に、明確にお客さんに伝えることのできる商社が、生き残れるのです。

同じ商社マンでも、この「付加価値」の意味を分かってない人、結構多いのです。これを正確に理解して、お客さんに「商社が入る理由」を説明出来ないと、ただ単に、高い・安いの価格競争になってしまい、メーカー泣かせ(メーカーに値引き依頼ばかりする)する、ダメな商社マンになってしまうのです。

はい。以上、カッコよく書きましたが、僕がよく仕事が出来る訳でもありませんので、お間違えなく(笑)

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