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商社

マスク転売は悪なのか?ビジネスは、全てが転売行為です。資本主義の市場原理について語ります。

投稿日:2020年6月21日 更新日:


世の中に「ぼったくり」は、存在しないです。

なぜなら、無理矢理、買わされたわけではなく、自分の意志で、納得して買ったのであれば、それが「適正価格」だからです。

品切れの原因は?

コロナ騒動で、マスクが、一時的にに値上がりしましたが、あれは「ぼったくり価格」ではありません。需給バランスが崩れただけなのです。その時々では「適正価格」だったはずです。

日本政府は、マスクや消毒液に、転売規制をかけましたが、これは資本主義を否定するのと同じなのです。なぜなら、全てのビジネスは、転売行為なのです。

あなたの会社も、何かを仕入れて、何かを売っていますよね?

どこの会社も、仕入れたものを、加工したり、他の部品と組み合わせたり、無形サービスを付加して、誰かに、売っている(転売している)のです。

商社マンからみた「商売のポイント」を、解説していきたいと思います。

■こんな方にオススメ

・「転売」という言葉がなぜか嫌い

・「利益」という言葉もなぜか嫌い

・「ぼったくり」は許せない

まず「ぼったくり」の意味を確認しておきますね。

ぼったくりとは、法外な料金を取ること。力ずくで奪い取ること。

僕のいう、ぼったくりとは「法外な料金を取ること」を指します。決して、力ずくで、買わされたものでもなく、騙されたものでもないとします。

商品の中身を理解した上で、納得して買った場合、としますね。

これは違法行為ですね

壊れたものや、ニセモノを、わざと販売したり、1人5,000円と言っておきながら、最後に、高額請求するホストクラブなどは、ぼったくりです。それらは、違法行為です。

 

目次

マスクの転売は悪なのか?

先日、下記のようにツイートしました。

そうすると、下記のような、コメントをいただきまして、やり取りが続きました。ありがとうございます。

質問者
質問者
いわゆる転売行為において付加価値が加わっていない場合が多いと思いますがいかがですか?大元から買うのと比較し、物流機能も、決済機能も果たしていません。
ビジネスは、買う側の自由があれば、売値が高かろうが、転売も問題ないと思います。消毒液を何万円も出してでも買いたい人がいるのであれば、こんな時期にも、その人に「買うチャンス」を提供するという「価値」を提供しているとも言えると思います。
室長
室長
質問者
質問者
今の状況下で、買う側に自由があるのか、という点も争点になりそうですね。
富士山で、2,000円のカレーを売るのは、ぼったくりなのか?というのに近いと思います。業者も全てが、ボロ儲けしているわけでなく、マスクなどは、急な値下りで、在庫抱えて大赤字しているところもあるのではと推測します。
室長
室長
質問者
質問者
富士山のカレーの例は原価(人件費、材料費、輸送費)の観点から正当なコスト転嫁と理解はできますが、消毒液の転売には正当なコスト転嫁があるのでしょうか。
推測までですが、在庫リスクも十分あるはずです。資本主義の原理原則、社会の歪み(供給不足にいち早く供給する)を狙う行為、またその売値をどう設定するのかは、自由であるべき、と思います。そんな儲けを狙う人たちが多くいるために、購入できるチャンスが消費者にはあると思います。
室長
室長
政府は規制するのでなく、アベのマスクのように、供給量を増やして、市場の価格を意図的に下げることかと思います。これも厳密には、市場原理からは反する行為なのですが、緊急事態ということで、政府の供給量増ぐらいの関与は良いのかと思います
室長
室長
質問者
質問者
根本的な思想は仰るとおりです。特定の場合に自由を制限する必要が無いか、というのが争点かな、と思います。メーカー直販品を買いきった上で値段を上げて販売する行為は、消費者の購入するチャンスを奪った上で「チャンスを与えた」と言うものかなと思います。

以上、皆さんは、どう感じられましたでしょうか?

商社ビジネスとは、転売行為をいいますし、僕としては、ここは譲れない議論でしたw

転売自体は悪くないのです。市場価格は、需要と供給に委ねるべきです。欲しい人が増えたので、価格高騰するのは自然な現象です。

議論の論点ですが、転売屋が消毒液を買い占めたから、価格が高騰したのでなく、世界中でコロナが拡がったから、爆発的に需要が増え、供給が追いつかなくなり高騰したのです。

見えない転売屋を悪者にするのは、間違っています。解決策としては、政府は、転売を規制するのでなく、供給量を増やして、市場価格を抑えるべきなのです。

以上が、僕の一貫した主張です。

 

資本主義とは「歪み」を探すゲーム

資本主義とは、制度や市場の歪みを、誰よりも早く見つけ出すゲームなんです。

それはズルでもないんです。そういうゲームなんです。

この「歪みを狙う」という行為が、地球全体で、自然発生しているがために、その結果、社会全体が最適化していくんです。自主補正機能みたいなもんです。

いわゆる、これが、資本主義のマーケットメカニズム(市場原理)と呼ばれる、素晴らしい機能なんです。

例え話で考えますね。

僕が、タイの田舎で、世にも珍しいフルーツを発見したとします。

珍しいフルーツ発見

とても甘いんです。でも、ここの田舎の人は、そのフルーツを食べてませんでした。よって、僕は、タダ同然で、大量に入手できたとします。

「甘くて美味しい」

「タイで、タダ同然で手に入る」

「まだ日本で知られてない」

↑これら3つの条件が、社会の歪みなんです。

本来あるべき姿でないのです。まだ、誰もこの歪みに気付いていないのを、狙ったのです。僕は、自分の利益だけを考えて、タイから日本に輸出して、結果大儲けします。

この「大儲け」は、社会の歪みを、いち早く発見したからこそ、生まれた利益です。歪みを利用したわけです。悪いことはしてませんよね。日本人も、甘いフルーツが食べれて大満足です。

そして、他の人や、他の企業も、真似して、このフルーツを輸出することで、だんだん儲けが減ってきます。価格もバナナぐらいに下がるでしょう。

そうなった時点で、すでに、社会の歪みでは無くなっています。コモディティ化(一般化)されたのです。よって、ビジネスの旨味はありません。

しかし、この一連の結果として、バナナぐらいの値段で、この甘いフルーツが日本で食べれるようになったのですから、皆んなハッピーですよね。

選択肢の多さが重要

不思議なのが、僕は自分の利益だけを考えて行動したにも関わらず、社会全体が良くなったのです。これが、絶え間なく繰り返されているのが、資本主義社会です。なので、社会主義より、豊かになるんですよ。

古典派経済学

「個人や企業が自分の利益を求めると、自然と社会全体が効率化する」とは、資本主義の父アダムスミスの名言です。誰かが儲けようとしたからこそ、様々なフルーツが安く手ごろに、日本で味わえるのです。

 

相手の足もとを見るのが基本

ここから、実ビジネスの話をしますね。僕は、15年近く商社に勤めています。商社のビジネスモデルは「安く買って、高く売る」なのです。

いつも悩むのが、利益をいくらのせるべきか?販売価格をどうするのか?です。

基本的に、競合がいなければ、それなりにのせます。利益率を高く設定するのです。相手の足もとを見ているのです。

では、この考え方は、卑怯なのでしょうか?

お客さんが納得したうえであれば、卑怯でもなんでもないのです。
室長
室長

発注があれば、それが、お客さんの意思表示であり、その場所、その時の「適正価格」なのです。

「足元をみている」といえば、そうなんですけど、相手の足元をみない商売って、何かありますか?

競合がいないというのは、ラッキーではなくて、それなりにリスクをとって参入したということです。競合もリスクがあって、そのビジネスに手をつけてないのです。

そんな環境下で、仕事をとったのは、供給者である商社なので、評価されるべき(=利益享受すべき)なのです。

ファーストペンギン

競合がいないところに、参入するというのは、失敗する可能性も、その分、高くなります。もし、失敗すると商社は赤字となりますよね。

リスクとリターンは、つねに比例関係にあるのです。

もし、お客さんが、「足元を見るな。もっと安くしろ」とクレームしてきても、だったら、他社から買うか、自分で輸入して手配すればいいのでは?と言い返せばいいのです。

買う人の自由が担保されているのであれば、売る側は、いくらでも利益をのせてもいいのです。

 

買い手に原価がバレているのか?

販売価格を設定するときの注意点があります。

売る側(商社)は、買い手(お客)が、原価計算できているのか?を意識しないといけません。ここは、むちゃくちゃ大切です。

例えば、

・四葉のクローバー

・ミャンマー洞窟で採れたきれいな石 

これらが、1万円で売られていたら、おそらく、四つ葉のクローバーに対しては、お客さんは「それ、利益のせすぎ。適正価格じゃない」と突っ込んでくるでしょう。

なぜなら、四つ葉のクローバーの原価を知っているからです。その辺の公園に行って、誰もが頑張れば、見つけられる四葉のクローバーに、価値はありません。だから1万円では売れないのです。

子供でも探せる

しかし「ミャンマーの洞窟で採れたきれいな石」って、よく分からないでしょう。すぐに見つかるのか、なかなか見つからないものなのか。希少性があるのかないのかも。

モノが高いか安いかは、お客さん自身で、原価計算しているのです。

それを作るのに、人件費、材料費、加工賃がいくらかかるのだろうと、想像するのです。

 

原価計算ができる商品 → 利益率が低い

原価計算ができない商品 → 利益率が高い

 

よって、商品設計する段階で、オリジナリティ(独自性)が大切だとか、付加価値が大切だとか、言われるのは、そのためです。独自性があれば、相手に、原価計算されにくく、利益率が高く設定できるのです。

仮に、僕が、商社の立場で、四つ葉のクローバー(買い手が原価を知ってる)を、1万円で販売するように、社内指示を受けた場合、どうするだろうか?

答えは簡単。原価計算しにくい付加価値をつけるのです。

例えば、クローバーに金箔をつける、結婚式用として指輪とセット販売する、QRコードをつけて、スマホで読み込むと、送り主の録音が流れる、などですかね。

商売も芸術も独自性が大切

だって、指輪とセットとか、QRコードとかって、原価計算しにくいでしょう。そういうのを付け加えて、原価計算でなく、独自性の驚きや、ある種、感情に訴えていく(特別感を演出)のです。

 

マスク転売業者の失敗

マスク転売業者は「コロナ感染拡大の恐怖」という、マスクの需要と、供給が崩れたタイミングを狙って、高値で転売しようとしていました。

業者が買い占めた?

突如発生した、マーケットの「歪み」を狙っており、これ自体は、何も問題ないのです(政府は規制してましたが)

しかし、こんなビジネス、僕は、絶対に手を出しません。

先ほど述べた「相手の足元をみて、販売価格を設定する」というのは正しいですし、それによって、一時的には儲けが出るかもしれませんが、事業としての継続性が難しいのです。

なぜなら、買う側は、マスク1個の価格を知っている(原価を知っている)ので、気持ちよく買い物してないのです。

高騰したマスク

他に手がないので、仕方無しに、転売業者から高値で買っているからです。このマスク特需の時期が過ぎれば、お客さんは、その業者から離れていくでしょう。

問題は、暴利をのせて販売すると、お客さんが離れていき、商売の継続性が失われるのです。

目先の利益だけを追って、高い利益設定すると、適正価格のライバルが現れた時に、一瞬で、その商売自体が無くなるのです。商売を、長い目で見たときのトータル利益が失われるのです。

商売は信用が大切

そして、もっと痛いのが「室長さんは、今まで、こんな高値で売ってたんだね」って、信用も失われるのです。これが怖いので、僕の会社(商社)は、あまり利益をのせすぎないように気をつけるのです。

極論すると、利益設定とは、モラルやら、原価計算やら、お客さんの為じゃなく、実は、自分が生き残っていくため(商売の継続性)なのです。

これらが、商売する上での原理原則なのです。

 

まとめ

  • 買主に自由があれば、ぼったくりは無い
  • 資本主義は歪みを早く発見するゲーム
  • 売主は相手の足元を見るのが基本
  • 買主が原価を知っている場合は注意
  • 商売の継続性をみた時に一次的な暴利は不利

See you tomorrow.

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