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【現役商社マンが解説】為替予約とは?知ってそうで知らないこと。

投稿日:2020年6月11日 更新日:

海外商社マンは、毎日が「為替との戦い」と言っても言い過ぎではありません。

いくら輸出入が上手くいって案件が完結しても、最後の最後で、為替損が発生すると、全ての苦労が水の泡になります。

この為替リスクと、どのように向かっているのか、そして裏にはどんなカラクリがあるのかを、徹底解説します。

■こんな方にオススメです。

・商社に興味がある

・海外ビジネスに携わる予定

・為替予約って何?という方

大学教授から教わる「なんとか経済論」よりも、このアジア戦略大学(?)は、現役商社マンによる、生の解説ですので、より信憑性もあるかと思います。

後半部分は、僕と、ポンコツ上司との為替予約議論についても触れますので、皆さんも一緒に、どちらが正しいか、考えて頂きたいです(笑)

 

仕入と売上の通貨が違う

商社のビジネスモデルは、モノを買って、売る、というシンプルなものです。その過程で、海を渡る時が、厄介なのです。こんな場合です。

①仕入れ(日本円)

②売上げ(米ドル)

モノは、日本で、日本円で購入しました。しかし、販売先の米国企業は、米ドルで支払ってきました。では、その時に、いくらの利益が、出ているのでしょうか?

複数通貨がある

商社内の銀行口座内では、下記が起こってます。

①日本円が出ていく

②米ドルが入ってくる

よって、ここでいう利益とは、

米ドルの合計 -  日本円の合計 = 利益

となるわけです。

しかし、問題は、ホントに利益が出ているか?です。何故なら、円とドルは、365日24時間為替取引されており、変動しているからです。

 

通貨の価値は相対的

そもそも論ですが、日本円は、価値が変動しているのをご存知でしょうか?

日本に住んでいて、日本円しか使わない生活をしていると、ここは、あまり意識することないですよね。あなたの手元にある額面1万円は、明日になっても1万円で変わらないのですが、その価値自体が目減りしてるかもしれないのです。

何故なら、お金というのは、円だけでなく、世界に沢山の種類があり、日本円は、それら他の通貨と価値が固定されていません。変動しています。通貨の正体とは、相手と自分との関係性で、自分の価値も変わってしまう「相対的」なのものなのです。

為替レートが利益左右

難しくなってきましたが、ついてきてくださいね。

急激な円安になったのを、イメージして欲しいのです。1ドル=100円だったのが、1ドル=1,000円になったとします。円安とは、漢字が示す通り、「円が安くなる」=「円の価値が下がる」ことです。

よって、極端な例だと、輸入品である、iPhoneの日本円価格が10万円→100万円にも跳ね上がってしまうのです。だって、円安で円の価値が下がったので、10万円だけでは、海外のもの(iPhone)が買えなくなったのです。

円安とは円価値が減ること

言いかえれば、円安とは、手元に現金10万円あったとしても、それが1/10の価値に、目減りしてしまっているのです。

もう一度言いますが、通貨の価値は常に変動しているのです。

 

入出金のタイムラグが問題

冒頭の取引に、話を戻しますね。

①日本円が出ていく

②米ドルが入ってくる

この①と②が、仮にも、瞬間的に、その時点での為替を元に、同時に実行されれば、誰も何も困りません。為替予約もいりません。

しかし、納期の長い、製作設備を扱ったり、輸送にも数ヶ月かかるような商売をしていると、①と②の間に、タイムラグ(時間)が発生します。

②米ドルを払う米国企業からしても、モノが届いてないのに、全額前払いすることなどは稀ですので、モノを受け取ってから支払ってきます。

この出入金、①と②の間のタイムラグが問題なのです。

時差が問題

僕は、主に、日本の設備を、海外へ輸出販売しています。仮に、①と②に、半年というタイムラグが発生して、為替がこのように、円高ドル安に動きました。

【半年で円高になった】

①100円→1ドル 円支払した時

② 90円→1ドル (半年後)ドル入金された時

さぁ、ここで問題です。

輸出業者(商社)は、為替が動いたことで、儲けが増えたでしょうか?それても目減りしたでしょうか?

動画をとめて、皆さんも考えてみてください。意外に、円高円安の理解が、ごっちゃになっている方もいるのではないでしょうか。

 

正解は、損しています。儲けが減っています。

実際の仕入れ金額、売り金額を入れると分かりやすいです。

 

【想定収支】

仕入 100万円

売上 1.1万ドル(=110万円)

利益 10万円 ※粗利率10%

を、想定していたとします。

 

①日本円で支払い時

100万円支払い

②米ドルで受け取る時(半年後)

1.1万ドル入金

 

しかし、半年経ってみると、円高に進んでしまったために、この②の時点での1.1万ドルは、1.1万×90円=99万円の価値しかありません。

結果、100万円(仕入)に対して、99万円の入金(売上)ですから、日本円ベースですと、なんと1万円の赤字になっています。

為替で大損してしまう

これが、円高ドル安になれば、輸出業者が打撃を受けるというカラクリです。ここ頭がごっちゃになっている方は、再度、じっくり見返して頂きたいです。

これが為替リスクと呼ばれるのです。

 

リアルビジネスはもっと複雑

入出金のタイムラグで、為替リスクをみてきました。しかし、現実は、そんな単純ではありません。

もっと、長〜い、かつ複合的な、タイムラグが発生するのです。

仕事を受注するには、お客さんに、見積を提出します。

見積を提出して、その場で、発注をもらえれば良いのですが、お客さんも、数社へ見積依頼をしていて、1番安い会社へ発注します。

お客さんも、社内承認など、様々なプロセスを経ないとなりません。発注が、何ヶ月後になったりします。ここだけでも、時間を要するのです。

 

①商社が見積提示

②お客さんが発注

 

見積には為替を表記していますが、タイムラグがあると、その期間、為替が動くのです。

見積と受注にもタイムラグあり

なので、見積には、必ず見積有効期限が明記されています。

少し、セコイのですが、為替が悪い方に振れたら(自社が損する)お客さんに対して、

室長
室長
ご発注いただきましたが、見積有効期限が切れていますので、為替の見直しをさせてもらいます

と見積差替え(金額アップ)をお願いします。

逆に、為替が良い方に振れてたら(自社が得する)そのままスルーして、見積有効期限が切れていようが、過去の良い為替の金額で、受注処理を進めるのです。

まぁ、お客さんの調達部もおバカじゃないんで、後者だと「為替が変わったので、見積もりを安くしてください」って言ってきますけどね。

支払い条件は最重要

また、お客さんによっては、商品を受け取っても直ぐにお金を支払わなかったりします。何億円も動くプロジェクトでは、支払いの契約形態によっては、下記のように分割されるのが一般的なのです。

発注:30%

設備納入:60%

納入 1年後:10%

じゃあ、こんな1年後の入金に対して、誰が為替リスクを持つのでしょうか?

そろそろ、本題の「為替予約」の登場です。

 

為替予約

「為替予約とは?」と、ググってみましたが、

あらかじめ決めたレートで、ある時点で、外国通貨を交換すること。主に銀行と、企業との間で行われます。

と、ありましたが、ちょっと分かりにくいと思います。順序立てて解説していきますね。今回、ちょっと内容が複雑ですので、気合を入れて、お聞きください。

要は、為替変動リスク下げるために、商社が銀行に為替予約をするのです。

 

冒頭の取引にまた戻りますね。

 

①日本円が出ていく

②米ドルが入ってくる

 

【想定収支】

仕入 100万円  ※1ドル=100円

売上 1.1万ドル(=110万円)※半年後の為替は?

利益 10万円

 

半年後に、1.1万ドルが入金されるタイミングで、商社としては、1ドル=100円をキープできれば、全てが解決するのです。

よって、お客の発注をもらったタイミング(売上額確定)で、入金時期を逆算して「半年後に、為替レート1ドル=100円で、1.1万ドルを110万円で交換する権利」を、銀行から買うのです。これが、為替予約という行為です。

為替予約とは銀行サービス

銀行には手数料が発生します。銀行と商社との商取引ですので、契約書を交わしますし、もしどちらかが、契約を反故することはできません。

なので、この為替予約をしてしまった以上、商社マンとしては、意地でも、そのタイミングで、入金してもらえるように、最善を尽くすのです。延期や延長は許せないのです。

 

【補足】ポンコツ上司との議論

ここからが応用編です。

今までの話は、商社が、最終的な利益を、日本円ベースで考えた場合でしたよね。しかし、グローバルカンパニーでは、自社の口座に、日本円以外にも、米ドル、タイバーツなど、複数通貨を抱えています。

ふと疑問に思ったのです。

待てよ、うちの会社は、日本円、米ドル、タイバーツなど複数口座があるのに、わざわざ1案件のため(日本円ベース)に、銀行に為替予約をして、手数料を払う必要があるのだろうか?と。

 

例えば、ある商社の各通貨の口座が、下記だったとします。

円口座 10億円
ドル口座 1,000万ドル
バーツ口座 3億バーツ

これだけあれば、1案件である、1万ドル→100万円の両替など、自社の口座間で、出来てしまうのです。わざわざ、銀行に手数料払って、為替予約して、、という実務も要らないんじゃない?と思ったわけです。

社内口座もある

よくよく考えると、3ヶ国の通貨を、それぞれ約10億円づつ持っているということは、商社とは、案件単位でなく、そもそも、年中、為替リスクに晒されているのです。

たまに、ドル口座の残金が、少なってくれば、円→ドルと、自社口座内で、億単位の通貨を両替するのですが、この口座内の両替が、そもそも、タイミングもそうですし、最重要じゃないだろうか?と。

各営業マンが、せっせと、小金の案件で、為替予約するのが、バカバカしく思えたのです。要は、社内で複数通貨を持っているのだから、為替予約は不要じゃんと上司に進言したのです。

しかし、当時の上司は「営業マンの案件収支が、どうなったかが大切なので、為替予約は必要。それが社内ルールだ」と、一蹴されたわけです。

何が社内ルールだよ?

いやいや、会社って、各営業マンどうのじゃなくて、会社全体として儲かったかどうかが大切じゃん、と。そもそも論として、為替予約という、無駄な、手続きや作業が、僕は嫌だったのです。

皆さんは、どう思われますでしょうか?

See you tomorrow.

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