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現役商社マンが見た「グローバル社会の現実」これから僕たちはどう働くべきなのか?【海外ネタ012】

投稿日:2019年5月1日 更新日:

海外商社で働いていると、色んな国の見積を目にします。見積とはビジネス上の請求書です。

商社マンは、皆、営業マンですから、どれだけ見積もりを作って、その中の、何件の仕事を成約できるかが勝負です。

よって、見積作成は、日々の大切な業務となります。どんな小さな仕事でもスタートは見積作りから始まります。

見積の中身は、モノだけではなく、サービスや、無形のソフトウェアなど様々です。

商社の仕事は見積書から全て始まります

今日の議題は、人件費です。

例えば、海外向けの設備の立ち上げで、技術者を日本から呼ぶと、技術料として、1日当たり、7万円~10万円がかかります。

現地のお客様(設備購入者)が、それらの技術料を、設備費と共に支払うのです。

高いと思われるかもしれませんが、それは、その「技術」に対しての対価なんです。

そこの国では、その技術が無いので、わざわざ日本からSupper Visorとして技術者を呼ぶ必要があります。言い換えれば、まだ、その技術には、希少価値があるんですね。

 

目次

インド人の技術費高騰

少し話は変わって、インドです。

インド人技術者の日当が、3万3千円になってたのです。先日、そんな見積を見かけました。しかも、そのインド人を、インド国外に呼んだわけではなく、インド人が、インド国内で働いた場合の対価なんです。

「ここまで来たか、、」と思いました。インドの平均月収は5万円そこそこですが、この技術者は、日当で3万3千円も取るのです。インドの相場からすると高いですよね。

インドの人口は10億人、その中には優秀な人も大勢います

元ソフトバンクの社長候補だったアローラ氏、Microsoft、グーグルのCEOは、インド人が占めています。優秀な人は、それ相応の対価をもらうべきだと思っていましたが、いざ自分の身近でも、そんな波が来てると思うと、ドキッとしました。

僕は、海外向けの見積を作る際に「日本人技術者 10万円」「タイ人技術者 16,000円」と、どこどこの国の人なので、幾らと値段提示します。これは、差別でもなんでもなく、国籍で、一般的な相場があるのです。

しかし、途上国が技術力を付けてくると、この「日本人価格」は、限りなく他国の人の単価に、引きづられて、安くなってきます。昔は、日本人だけが出来た技術指導が、誰でも出来るようになると、その技術指導の希少価値がなくなってくるんです。

 

フラット化する世界

僕は、10年以上も前に、トーマスフリードマンの「フラット化する世界」を読んだ時は、ピンとこなかったんですが、まさしく、このカラクリなんですね。

世界が、繋がれば繋がるほど、グローバル化が進めば進むほど、先進国の人達の単価が、値崩れしていき、世界の人達の単価が平準化されていくのです。

日本人の平均年収は、年々下がっています。非正規雇用の割合が増えたから、景気が悪いから、とか色々理由はあるのですが「世界のフラット化」が、主な原因である気がします。

2000年代前半、日本人を雇っていると人件費が高くなるため、日本企業は、こぞって海外に工場を移転しました。そうして、安い現地人を雇用し、製品単価を下げて、国際競争に立ち向かいました。日本国内の空洞化とも揶揄されましたが、それは誰が悪いなどではなく、経済合理性がそうさせたのです。

しかし、それは現地人の技術や実力を向上させることにも、繋がっていたのです。要は、途上国の人達の実力向上は、先進国の人達からすると、競争相手が増えている、とも言い換えられるのです。

今後は「日本人 技術費 10万円」ではなくて「山田太郎さん 技術費 10万円」「ムハマドさん 技術費 15万円」と、国籍じゃなく、個人名で見積を作る時代が来ると思います。

「どこの国籍の人」ではなくて「どんな実力を持った人」が、、という究極の個人評価社会です。

それらも、SNSなどで数値化すれば、自分の実力をフェイスブックで売る時代がやって来るかもしれません。

 

会社名、国籍を外した後に何が残るのか?

僕が問いたいのは「世界でも信用されている日本人です」という、あなたの生まれ持ったメリットを、あえて外した場合、何が残りますか?なんです。

これからは、その「残った部分」でのガチの勝負になるからです。

目の前に競合相手がいなくとも、海外の品質の良い安い商品が入ってくること自体が、国際競争に晒されている証拠なのです。いくら「俺は日本から出ないぜ」と言っても、国際分業、輸出入をしている限り、日本人全員が、グローバル社会に巻き込まれてしまうのです。

これは、良い悪い、という議論の余地はなく、必然の流れなのです。これからは、自分を磨かないと、個人名で見積された場合の単価(あなたの価値)は、インド人より低くなってしまうのです。

国籍ではなく個人同士の競争です

僕は、海外の仕事を通して、目の当たりにしており、その結果「健全な危機感」を常に持っています。

いつ会社からクビを宣告されても、世界中、どこでもやっていける実力と自信を持ち合わせたいと強く思っています。

語学だってそう、海外赴任経験もそう、情報発信だってそうです。僕は会社からの評価より、自分のスキルと経験を磨くことに注力しています。会社には頼らない、依存しない、自分の力で稼ぐことをいつも考えています。

誰しもが「グローバル社会?どんと来い!」ぐらい、胸張って言いたいじゃないですか。ここまで、読んで頂ける方なら、僕のように、グローバル社会をポジティブに捉えていただけると思います。お互い頑張りましょう。

See you tomorrow.

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