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商社 海外ネタ

【商社マンの本音】良いお客、悪い取引先。商社は、何を考えて営業しているのか。商社Youtube大学の室長が語るよ。

投稿日:2020年4月12日 更新日:


商社の仕事シリーズ、第4回目です。過去の投稿を、まだご覧になってない方は、下記より参照ください。

今回は、お客とメーカーとの関係性について解説します。

中堅商社で働いて12年目になります。お客とメーカーに板挟みにされながら、商社マンである僕は、何を考えて営業しているのか。

匿名だからこそ、商社の本音を一挙公開します。メーカーやお客にバレると、怒られそうな内容ばかりです、、

■こんな方にオススメ

・商社に興味がある就活生

・営業職が嫌なのに営業に回された

・室長が何してるのか気になる

目次

商社の役割

商社は「お客」と「メーカー」の間に入って、両者を繋ぎ合わせる役目があります。商社は、メーカーから製品を買って、お客さんに売っています。非常にシンプルなビジネスモデルですね。

本来、メーカーAと、海外お客Bとは、まったく縁がなかった、しかし、商社が、彼らを、つなぎ合わせて、売買を成立さる。これは、広義にみると、経済を活性化させる「接着剤」のような役割と思ってます。

お客にメーカーを紹介します

ネット全盛期時代を迎えて、中間マージンを抜くビジネスが全て弱体化するのかというと、そうではありません。ネットでは調べなれない、ネットでは完結できない、お金を回収できない、そんなビジネスが世の中には山ほどあるからです。

 

お客さん側?メーカー側?

お客とメーカー、この両者の間に入るので、商社のあるべき姿は、どちらにも公平に付き合っていくことです。

しかし、営業マンによって、ここで性格が出ます。「お客寄り」なのか「メーカー寄り」なのかです。どっちに良い顔をしてるか?です。僕は「メーカー寄り」だと自己認識しています。

一方を「ひいき」にしてはいけない

この三者の力関係は、こうです。

■力関係

お客 →  商社 → メーカー

お金を支払う側、発注する側が「偉く」なります。「お客様は神様」ですね。接待する側、される側となると、この逆となります。

■接待する方向

お客 ←  商社 ← メーカー

商社は、お客に接待しますし、メーカーは商社に、接待します。そうなると、立場としてはメーカーが1番弱くなりますよね。

以上の力関係、立場の違いを、担当、商社マンはどう振る舞うか?なのです。

 

問題が起こる前提

商社のビジネスは、1日で終わるものはありません。八百屋で大根が1本売れました、ハイ終わり、というものではない。

商社は八百屋ではない

プロジェクトによっては、半年とか1年かけて対応します。僕の担当は「自動車工場に、生産設備を販売すること」です。生産設備と一言で言っても、カタログに載っている、標準品と呼ばれる設備は少なく、どれも一品一様なのです。

実際には、下記のような、気の遠くなるような、プロセスを踏んでいきます。

①仕様検討

②見積

③受注

④製作

⑤輸送

⑥設置

⑦検収

この過程で、お客やメーカーだけでなく、ものすごい数の、立場の違う人と付き合っていくことになります。

輸送を依頼する輸送会社であったり、海外輸入すると税関職員、為替予約するなら銀行員、設置するためにワーカー(作業者)依頼などなど。

そして、プロジェクトの中では、必ず大小問題が起こります。追加費用が発生する、納期が遅れる、製品が破損する、為替差損が出てしまう、、などなど。

問題が起きると責任のなすりつけ合いになる

逆説的にいうと、これら「問題が起こる」からこそ、お客もメーカーも商社を間に入れようとするのです。これらの問題解決能力が、商社に求められるのです。

そして、何か問題が起こった時に、弱い立場のメーカーに、責任を擦りつけること、これが商社マンを、やってて1番楽なのです。やってはいけないんですけどね。業界用語で「スライドする」といいます。

ジャイアン(お客)が、のび太(メーカー)をいじめていて、その横で、スネ夫(商社)が、ヘラヘラ笑っている感じですね。

メーカーをいじめちゃダメ

しかし、これを商社が、やりすぎると、メーカーから見放されてしまいます。「室長さん、助けてくれなかったから、次から別の商社にします」と。逆に、メーカーばかり庇っていると、ジャイアンに殴られてしまい、失注してしまいます。

商社マンには、絶妙なバランスが求められるのです。

 

良いお客の条件とは?

バランスといっても、どっちに肩入れすればいいのでしょうか?商社も、慈善事業ではなく営利目的です。どう振る舞うべきなのか、その都度、判断しないとなりません。

ビジネスライクに表現すると、良いお客さん、良いメーカーには、僕たち手厚くサービスさせてもらっています。当たり前ですよね。スナックのママでも、マナーの良い常連さんや、お金持ちには、待遇したりしますよね。

お金(予算)を持っている

予算についていきます!

やっぱり、お金(予算)を持ってないと話になりません。ある先輩は「予算を持ってないのは客じゃない」と言い切ってました。当たり前ですが、予算があって、初めて仕事になるのですよね。

気をつけないといけないのは、お客の会社が大きい場合、いろんな部署があり、予算がない部署もあるのです。間違っても、そんなお金のない部署を営業しても、暖簾に腕押しになります。

発注書が欲しくて営業活動する

ズル賢いお客もいて、自分に予算がないのを分かってて「将来、こんなプロジェクトがある」と人参をぶら下げてきたりします。なので、この人が持っているのは、予算なのか、人参なのかを見極めないとなりません。

仕事に継続性がある

1回きりの仕事、これは営業効率が悪いのです。例えば、自動車業界でいうと「乗用車」と「トラック」を扱っているお客がいるとすると、継続性があるのは「乗用車」を扱うお客です。

モデルチェンジ=設備投資

ご存知の通り、乗用車は、毎年何かしらの車種が、モデルチェンジを行います。消費者は、常に新しいモデルを追うので、他社に負けないように、どこの会社も、モデルチェンジのために、設備投資を繰り返します。

設備投資とは、いわば、僕たちサプライヤーからすると、飯のタネなのです。大きな予算が組まれるので、そこを狙うのです。

しかし「トラック」を扱うとなると、これは違います。

トラックは、モデルサイクルが長い

平気で10年以上もモデルチェンジしなかったりします。そうすると、いくら1回仕事をもらって、トラックのお客に、頑張って尽くしても、次の設備投資まで、10年も先になります。

情に厚い

どこまでが商社の仕事か分からないこともあります。僕たちは、受注前だって、お客の仕事まで、また、メーカーの仕事まで、首を突っ込んで対応しています。仕事になるか分からない段階で、お客の社内資料を作ったり、メーカーの現場調査したりと、動きます。

どこの業界も同じですが、受注するための営業活動は必須です。ここの段階では、お金も請求できませんよね。

受注前の営業活動が多い

僕は忙しいときは、1日に60本ぐらい電話応対もします。その半分は「受注するための営業活動」だったりします。ここには、相当の工数をかけています。営業活動しなくて良くて、受注した案件だけやってて良ければ、それが楽でしょう。そんな訳にはいきません。

それを「情に感じてくれるかどうか?」なのです。「あっ、ここまで動いてくれてる。だったら室長さんにお仕事頼もう」と。

情に厚くないと

室長さんに色々動いてもらった(=室長さんの調査結果を利用する)けど、最後の最後で、他社より価格が高かったので発注できません。こんな風に、ビジネスライク的に言われると辛いんです。

外資系だと当たり前なのですが、日系企業にはやはり情があってこそ、客と商社のWin-Winの関係が築けるんだと思う。ちょっとアナログ的なところもないと、お客としてはダメなのです。

 

良いメーカーの条件とは?

僕は、日々、かなりの数のメーカーから営業を受けています。「新製品が出たので、御社で売ってもらえませんか?」と。メーカーは、商社の営業網を使って、売上を伸ばしたいのですが、僕たちも、メーカーを見る目をしっかり養わないといけません。

様々な新製品の案件が入ってきます

売れない物を、一生懸命時間をかけて売ろうとするのは、時間と体力の無駄、徒労に終わってしまうからです。良いメーカーを選別して、限られた自分の営業資源を投下しないといけないのです。メーカー全員を、僕は幸せには出来ないのです。

付加価値があるか

この1点だけは必須です。他社が真似できない、付加価値があれば、売れるのです。当たり前に聞こえますが、分かってない人も大勢います。

例えば「弊社の製品は日本製でして、中国製と比べて品質が高いです」と。ここで、中国製と日本製の価格差が、10〜20%ぐらいであれば、なんとかなるかもしれません。しかし、モノによっては、数倍の差があったりします。

今の時代「日本製」だけではダメ

その数倍差を、品質でカバーできてればいいのですが、それは難しかったりします。品質以外の付加価値、技術的に優れている、処理能力が速いか、設計能力があるか、ど、光る何かが必要なのです。世界競争に突入していますので、どこでも手に入るものは、どうしても、価格競争の晒されてしまいます。しかもお客もネットを使って、その辺りを調べてきますので、簡単には騙せないのです。

営業力がない

意外に思われるかもしれませんが、メーカー営業がだらしない方が良いのです。もし、営業がしっかりしていると、社内営業で、仕事が取れるわけですから、そもそも商社にお願いする必要がないのです。

ダメな営業がいるメーカーが良い

商社とは営業力が売りです。お客の近くにいて、お客の情報もたくさん持っている。だから、メーカーは、商社を頼りにしていただけるのです。裏返すと、これらの営業活動が苦手なメーカーが狙い目なのです。営業を補填するという、Win-Winの関係を築けるのです。

情に厚い

上記に同じ。

 

※悪いお客・メーカーとは、良い点の逆のことです。

まとめ

商社とは、

・お客とメーカーの間に入りバランスよい立ち振る舞いが求められる

・プロジェクトでは、問題解決能力が求められる

・良いお客(予算有り、仕事継続性、情に厚い)

・良いメーカー(付加価値、営業力無し、情に厚い)

血の通った人間同士のビジネスですから「情に厚い」は大切ですよね。いつもデジタル化や、効率化とか言ってる僕ですが。

営業として、仕事を得るためには、嘘をつかない、誠実であるなどの「信用できる人かどうか?」だったりもします。どんなことがあっても、ここは忘れてはいけないことだなぁ、と思います。

See you tomorrow.

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